身近な方が亡くなられたとき、悲しむ間もなく押し寄せてくるのが山のような法的手続きです。役所への届け出から、銀行、不動産の名義変更まで、やるべきことは多岐にわたります。
「一体何から手を付けたらいいのか分からない……」
そんな不安を抱えている方に向けて、岩国市で20年、数多くの相続に寄り添ってきた司法書士が、特にトラブルになりやすい「預金凍結」と「相続登記」を中心に、手続きの正しい進め方を分かりやすく解説します。
亡くなった直後にまず直面する「預貯金口座の凍結」
銀行はなぜ口座を凍結するのか?
銀行は、名義人が亡くなったことを知った時点で口座を「凍結」します。これは、一部の親族が勝手にお金を引き出して、後から他の相続人とトラブルになるのを防ぐための法的措置です。
しかし、葬儀費用や当面の生活費が必要なタイミングで口座が使えなくなるのは、遺族にとって大きな死活問題です。
凍結を解除する・お金を引き出す2つの方法
遺産分割協議を終えてから解約する(確実な方法)
相続人全員で「誰がどの預金を引き継ぐか」を話し合い、合意書(遺産分割協議書)を作成して銀行に提出します。全員の戸籍や印鑑証明書が必要になるため、完了までには数週間から数ヶ月かかります。
「仮払い制度」を利用する(お急ぎの場合)
遺産分割の話し合いが終わる前でも、一定の金額(法律で定められた上限あり)までなら、単独の相続人が金融機関の窓口で引き出すことができる制度です。ただし、こちらも必要書類の収集が必要です。
注意!凍結前の勝手な引き出しはリスク大
銀行が凍結する前だからといって、キャッシュカードでまとまったお金を引き出すのは極めて危険です。
後から他の親族に「勝手に使い込んだのではないか」と疑われ、親族トラブル(争族)に発展する原因になります。引き出す際は、必ず他の相続人に一言声をかけ、領収書を保管しておきましょう。
【2024年から義務化】実家や土地の「相続登記」
これまでは期限がなかった不動産の名義変更(相続登記)ですが、法改正により2024年4月1日から完全に義務化されました。現在、非常に多くの方がこの手続きで当事務所にご相談に来られています。
知っておくべき3つのルールとペナルティ
- 期限は3年以内: 自分が相続人であることを知り、不動産を取得したことを知った日から「3年以内」に登記をしなければなりません。
- 過去の相続も対象: 義務化されるより前(2024年以前)に発生していた古い相続についても、一律で義務化の対象となっています。
- 10万円以下の過料: 正当な理由なく期限を過ぎて放置した場合、10万円以下の過料(ペナルティ)を科される可能性があります。
地方特有の「山林」「空き家」は放置リスクが跳ね上がる
ここ岩国市周辺でも、「名義が何代も前の曾祖父のまま放置されている山林」や「誰も住んでいない実家」が非常に多く存在します。
放置すればするほど、ネズミ算式に相続人(いとこや、会ったこともない親戚など)が増え、いざ売却したい、処分したいと思った時には全員のハンコをもらうことが物理的に不可能になってしまいます。
手続きを自分でやるか、司法書士に頼むかの「判断基準」
相続手続きは、ご自身で行うことも不可能ではありません。しかし、以下のような場合は、すぐにプロに丸投げすることをおすすめします。
- 亡くなった方に、離婚歴や、前妻との間の子どもがいる場合
- 親族の中に、連絡が取れない人、遠方に住んでいる人がいる場合
- 不動産(実家や山林)が、複数の市区町村にまたがって存在している場合
- 平日の昼間に、役所や法務局、銀行の窓口に何度も行く時間が取れない場合
司法書士は、戸籍の収集(多いときは数十通におよびます)から、遺産分割協議書の作成、法務局への登記申請、銀行口座の解約まで、すべての事務作業を一括して代行できます。
まとめ:早めの相談が、家族の円満を守る一番の近道
相続手続きをスムーズに進めるコツは、とにかく「放置しないこと」です。時間が経てば経つほど、手続きは複雑になり、心理的な負担も大きくなります。
「何から手をつけていいか分からない」「親族とどう話せばいい?」といった段階でのご相談で全く構いません。当事務所は夫婦で営むアットホームな事務所です。どうぞ敷居を低くして、親戚の家に相談に行くような気持ちで、お気軽にお問い合わせください。