「親が亡くなって実家が空き家になったが、当面住む予定もないので名義変更は後回しにしている」——このような状況の方は少なくないと思います。しかし、名義変更(相続登記)をしないまま長期間放置すると、様々なトラブルにつながることがあります。
この記事では、実家などの空き家の名義変更を先延ばしにした場合に起こりやすいトラブルのパターンと、その対処法を解説します。
なぜ名義変更を先延ばしにしてしまうのか
空き家の名義変更が後回しにされやすい背景には、次のような事情があります。
- 今すぐ売却や活用の予定がなく、急ぐ理由がないと感じている
- 相続人が複数おり、遺産分割の話し合いが面倒に感じられる
- 誰がその不動産を相続するか、まだ決まっていない
- そもそも名義が誰になっているか把握できていない
こうした事情自体は理解できるものですが、時間が経つほど状況が複雑になり、後になって手続きの負担が増してしまうケースが多く見られます。
名義変更を先延ばしにすることで起こりやすいトラブル
1. 相続人がさらに増えてしまう(数次相続)
名義変更をしないまま、相続人自身が亡くなってしまうと、その方の相続人(配偶者や子など)が新たに手続きに加わることになります。これを「数次相続」と呼びます。
世代が進むほど関係者の人数が増え、遠方に住んでいる、面識がない、といった相続人が加わることもあり、遺産分割協議がまとまりにくくなる傾向があります。
2. 空き家として指定され、固定資産税が上がる可能性がある
管理が行き届かない空き家は、市区町村から「特定空家」または「管理不全空家」に指定され、勧告を受けることがあります。勧告を受けると、住宅用地に対する固定資産税の軽減特例が解除され、土地部分の固定資産税が大きく上昇する可能性があります(軽減特例が解除されると、最大で従来の約6倍になるとされています)。この制度は2023年12月の空家等対策特別措置法の改正によって強化されました。
名義変更そのものと空き家の管理は別の問題ですが、名義変更が済んでいないと「誰が管理責任を負うのか」が曖昧になり、対応が後手に回りやすくなります。
3. いざ売却しようとしたら名義変更ができていないことが発覚する
空き家を売却しようとした際に、実は名義が祖父母の代のままだったと判明するケースは珍しくありません。この場合、売却前にまず相続登記を済ませる必要があり、戸籍の収集や相続人全員の協議に時間がかかるため、売却のタイミングを逃してしまうこともあります。
4. 相続人の一人と連絡が取れない・関係が疎遠になっている
時間の経過とともに相続人同士の関係が疎遠になり、連絡先が分からなくなってしまうケースもあります。この場合、戸籍の附票などから住所を調査するところから始める必要があり、通常より手続きに時間と費用がかかります。
放置すると過料の対象になることも
2024年4月からは相続登記が義務化されており、正当な理由なく相続登記を怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。この義務化は、2024年4月より前に発生した相続にも遡って適用されるため、「何十年も前に亡くなった祖父母名義のままの実家がある」という方も対象になります。義務化の詳しい内容は、別記事「岩国市の相続登記、義務化(2024年4月〜)で今すぐ確認すべき3つのこと」で解説しています。
トラブルを避けるための進め方
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 名義(登記記録)の確認 | 現在の登記名義人を確認し、誰の代まで名義変更が済んでいるかを把握する |
| 2. 相続人の確定 | 戸籍謄本等を収集し、相続人が誰かを確定させる |
| 3. 相続財産の確認 | 空き家以外の財産も含めて全体像を把握する |
| 4. 遺産分割協議 | 誰が空き家を取得するか、または売却するかを話し合う |
| 5. 相続登記の申請 | 遺産分割協議書等を添えて法務局へ登記を申請する |
数次相続が発生している場合は、この手続きがより複雑になるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
実家の名義変更をお考えの方へ
「実家が空き家のままになっている」「名義が誰になっているか分からない」といったお悩みは、時間が経つほど解決が難しくなる傾向があります。まずは現状を確認するところから、お気軽にご相談ください。
山本健吾司法書士事務所では、岩国市を中心に空き家の相続登記に関するご相談を承っております。地域密着で対応しておりますので、お困りの方はぜひお問い合わせください。